高原颯時
2023.6.1 - 6.18
2023年6月1日(木) – 6月18日(日)の期間、アーティスト・高原颯時による個展「Lighthousekeeping」を開催いたします。
高原颯時は1992年生まれ、京都造形芸術大学(現•京都芸術大学)卒業後、アートを軸にデザイン、ファッションなどの領域を横断しながら活動を行っているアーティストです。
ジャネット・ウィンターソンによる著作「Lighthousekeeping」から題された本展は「Lighthousekeeping」の内容をなぞらえるように展覧会が構成されます。
−高原より展覧会に寄せて−
「Lighthousekeeping」では目の見えない灯台守のピューが見習いのシルバーに、灯台の灯りを絶やさないこと以上に物語を絶やさないことの重要性を説きます。
それは、かつて暗闇の荒波の中、方向感覚を失った船乗りたちが、灯台の灯りを頼りに上陸した後に、その土地の物語を灯台守から聞くことで岬の一つ一つを覚えたからです。
つまり、灯台はイコール物語であり、物語の灯火が消えれば灯台は表面的なものになり、死んでしまうということです。
ピューは自身が生まれるより前、かつてこの場所に灯台ができる前から現在までの物語を、自らの目で、その光景を見て体験したようにシルバーに語ります。
このことは灯台守が物語を何度も語り直すことによって、個人の肉体を超えた時間を持つに至ったと言えるのではないでしょうか。
絵画を見るとき、その光が自身に”やっと届いた”というような感覚と、かつて、この主題を捉えた時間が私の中にあるような感覚を同時に持つことがあります。
そこには自身が存在する遥か前の時間まで遡って知覚することができるほど、長く絶やされなかった灯りがあり、灯台守が物語を語り直すように、アーティストは何度も主題を語り直すことで、個人の肉体を超えた時間を捉えていると言えるのかもしれません。
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時間や次元、感覚を超越することで再発見された、続けること、絶やさないこと。
本展では、灯台を登るような当ギャラリーのスペースに絵画やドローイングを中心とした作品を展示いたします。
注目の若手アーティストの新作展を、どうぞこの機会にご高覧ください。
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