池田匡秀
2024.4.25 - 5.6
2024年4月25日(木) – 5月6日(月・祝)の期間、写真家 池田匡秀による個展「白地図に線を引く」を開催いたします。
池田匡秀は1984年生まれ、東京を拠点に商業写真と並行して作品制作を行なっている写真家です。
本展では池田が長年にわたり制作を続け、現在も続いている風景写真のシリーズを発表いたします。
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風景を構成する線に興味がある。
なかでも人為的に引かれた、土地を分断する境界線に注目する。
境界線は土地の占有に関わる線であり、人間の移動を制限する政治的な意味合いの強い線でもある。
風景写真を撮っていると、その土地の境界線を嫌でも意識せざるを得ない。 私有地などの他人が管理する土地には入れないので、自分がどの位置に立って撮影できるのかどうか、実際その土地に引かれた境界線を示すなんらかのオブジェクトをもとに判断をすることになる。
地図に引かれた無数の境界線のうち、たとえば錆びたフェンスであり、地面に刺さった鉄の杭であり、穴が空いてたわんだネットであるような、明示的に表象された境界線によって構成されている場所があり、写真を撮ることによって見出される風景がある。
矩形のフレームの中で、相反する意思や運動が、衝突し、拮抗する。
写真のフレームもまたひとつの境界線である。
写真は単なる出来事や事物の記録ではないし、単一の視点で語られるような物語に奉仕するものでもない。
写真を撮ることは、客観的な機械の眼によって世界を描写することであると同時に、写真を撮る、あるいは観る人間の実存を含むことでもあり、それぞれ固有の視点、身体に収斂することでもある。機械と身体、そのどちらにも肩入れしない、往復の中で常に写真を撮ってきた。
重要なのは、どこかにいて何かを見ていた、ということであって、即物的な意味での自分のいる場所だ。
(作家より写真集『白地図に線を引く』解説より)
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また、本展に合わせ写真集『白地図に線を引く』(私家版)が出版されます。
どうぞこの機会にご高覧ください。
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